やっぱり、
朱理は嫌いだわ。


「…あっち行ってよ!!か弱い女性の私より、早く登ったら良いんじゃないの!?」

しっしっ…!!
そう身振りで追い立てると、朱理はムッと顔を歪めてこう言った。


「えぇ、か弱い甘ったれの揚羽さんはっ…太磨さんの膝枕で休まれたら…いかがですかぁっ…!?」

「…はぁ!?」

「朝、湖で、そうされていた様にっ?その間に、僕は進ませて頂きますからっ!?」

……何で、
知ってるのよ…。

一拍、私は黙ったわ。

太磨はくだらない事をわざわざ人に言うタイプじゃないし、それを目撃した蓮も朱理には言わないわね。

私が太磨に懐いているなんて、人に知られるのは面白くないはずだもの。

じゃあ…?


「…ふふふっ!!僕は知ってますよ、見てましたからねっ!!」

朱理は勝ち誇って笑ったわ。


「…見てた?はぁ!?あんたは部屋に居たじゃないの。」

…くだらない。
見られてたからって、
別にどうだっていいわよ。


その私の態度が気に入らなかった様で、朱理は更に私に言葉を続けた。

私を焦らせて、
参ったわ、降参よ…と、
言わせたいのねっ?青二才。