ねぇ?
と意気投合した私たちに、蓮から出るのは溜め息ばかり。
「ねぇ、揚羽ちゃん。家族なら、この子に名前を付けてあげなくちゃ!何時までも子虎って呼ぶのも、ね?」
美玲さんはウキウキと私にそう投げ掛ける。
もう完全に私の味方だわね。
「…名前かぁ…。もう『子虎』じゃ…ダメ?この子も定着しちゃってない?」
「駄目よ!そんなの可哀想じゃないの!」
「…そ?そういう物かしら…」
うーん、と私は子虎を見つめて考え込んだ。
自分は「揚羽」という大層な名前とその意味を貰って誇りに思っているくせに…
と、蓮がブツクサ言っている。
白い毛並み。
愛くるしい大きな瞳。
後ろ足の包帯は未だ痛々しいけれど、もうすっかり痛みは無い様子。
今も食事のおこぼれをくれやしないかと、じーっと私の顔を見つめてる。
「…白い虎の子供。こはく…」
「こはく?」
「――そう!虎白!」
白い虎だから、虎白。
ちょっと安易かしら…と自分でも思ったわよ?
でもね?
「――…安易。可哀想…」
蓮、人にそう言われるのは我慢ならないわ。
「――まぁ失礼ね!良い名前でしょ!?ねっ、虎白!気に入ったわよねっ!!」