そうだった。
蓮は最初から「虎を飼う」事に反対していたんだった。


「…あら、大丈夫よ。暴れてやしないわ?危害も加えたりしない。」

幾らそう説明したところで、
ちゃんと虎白の事が分かるのは私たちだけ。

少しだけ、足を速めた。


「…分からないよ?どうして、そう言い切れるのさ?」

それは…


「「――…ヘタレだから」」

太磨と私は、
2人で声を揃えていた。




――…にゃぁあぁっ…
にゃにゃあぁっ…

その鳴き声は、
家の扉を開く手前から聞こえていた。


「…こりゃまた…」
「……大音量ねぇ…」

「「……うるさい」」

これは困るわよね。
虎白の言葉が分からない皆にとっては、オロオロ慌てるしか出来ないかもしれない。

だだ、
私たち2人は、呆れ顔。


部屋に入ると、
虎白は家具の隙間に入り込んで、壁に向かって騒いでいたわ。

その前に座り込んで、終始優しい声を掛ける美玲さんの姿。


「虎白ちゃ~ん…出てらっしゃいよ?怖くないから出ておいで…?ほら、抱っこしましょうよ~…」

にゃあぁあぁ~!!
にゃあぁぁにゃ~っ!!

虎白は聞き耳持たず。
鳴き続けるだけ…。


……あぁ。
それで鳴いてるの…。