「……から、……じゃないの!!馬鹿――…なんじゃ……!!」
騒がしい女性の声で、
私はぼうっと目を覚ました。
聞き覚えのある声。
見覚えのある天井…。
私は、あれから…
どうなったんだろうか…。
記憶が飛んでいた。
今は、落ち着いている…。
横たわった状態で、
安心する温かな何かに頭を包まれていて…、
それは何かと考えてみると、
虎白の特等席である、
太磨の「膝枕」だった。
「…花梨、静かにしろよ…。せっかく落ち着いてる嬢ちゃんが起きちまう…」
「――落ち着いてられるかって言うのっ!!あんだけ言ったじゃない!!よりによって朱い鳥を見たさに石柱に近付いて!?避けるはずの…揚羽ちゃんを守るはずのあんたがっ!!馬鹿じゃないの!!鼻ったれっ!!」
…あ、花梨さんが居る…
太磨が怒られてる…
この天井は…、
関所に戻って来たの…?
「…しかも、何っ!?よりによって!!一番に避けたかった、この青二才に見付かって!?あんたも刺激してくれてんじゃないわよっ!!少なからず状況分かってるでしょ、馬鹿っ!!」
…青二才?
朱理の事かしら…。
一緒に朱理も来てるの…?

