記憶 ―流星の刻印―



花梨さんが言っていた事を、
私は必死に思い返していたわ。

確かに…、
馬鹿な王子様の事も、
独裁政治で荒れている事も、
花梨さんは分かっていたはずなのに、私たちに知らせてもいない。


『…危険なのよ、今。氷上の石碑の内容を巡って、色々と四彩華の国全体が…』

『緊迫してるの、一般人の知らない所で。均衡が崩れない様に、力を持つ『妖術師』の四彩華の四国間での移動は、現状では数ヶ月前から禁止されている。特例でもない限りね?』

言っていたのは、
四彩華全体の事ばかりだった気がするわね。
よく分からない内容だけど。


「……氷上の石碑、か?」

太磨はそう聞いた。
仮にも龍の巫女に仕えている太磨は、私の知らない何か知っている様子。

朱理は満足そうに頷いた。


「…やはり、太磨さん。龍の巫女の従者ですよね?あなた方は、草原の地の『龍湖の里』からやって来た…。違いますか?」

「………」

私たちは、
何も明かしていない。

ただの通りすがりの旅人を装っていたのよ。


――「龍湖の里」

それは、私たちの出身地。
そして…
明かされてはいけない、

「隠れ里」の名なのよ…。