記憶 ―流星の刻印―



「…時と場合によります。さして口は出しませんよ、私は。特に国政の事に関しては…。」

あの横暴な困った兄を野放しに、一歩引いた所から客観的に、他人事の様にただ見ている弟。

あの兄を見て育ったせいか、優しい穏やかな表情で立ち回り、人当たりは良いはずよ。

でも打算的な頭脳派。
そんな印象を持ったわ。

なんて極端な…、
変な兄弟だわ。
やっぱり関わりたくないわね。


「…で?話は戻るが、誘拐の犯人は捕まったのか?俺たちが着いた時にゃ、王子様は独りだったが…」

「…残念ながら。しかし、目的は分かっていますので。」

朱理は落ち着いた表情のまま、用意されていたお茶を口にして笑った。

変な国ねっ。
誘拐犯を、そのまま放置?


「…目的?身の代金か?はたまた、独裁政への報復か?しかし王子様がよく無事だったな?」

太磨もまた、釣られたようにお茶を口にして「…ぁ、旨い…」と呟いた。

落ち着いてお茶をしながらする様な会話かしら。
私は呆れて溜め息を漏らす。


「…全部、外れです。目的は、朱雀の血。関所で聞いてませんか?四彩華の現状を…」

「「朱雀の血?」」

私たちは揃って聞き返した。