やっぱり横柄な態度は変わらず、顎を突き出して得意気に太磨の反応を待っていた。
「……ふ」
と鼻で笑う太磨の息が、
私の後頭部の髪をなびかせた。
「…あぁ…迷子か?王子様。」
太磨の相手を馬鹿にした声。
多分、彼を見る視線も、凄く見下しているんでしょうね。
男は急に興奮して、顔を赤く染めて怒っていた。
「――失礼な!!俺は朱雀の末裔、第1王子だぞ!?この俺にそんな口をきいて許されると思うなよっ!?」
子供じみている。
一体、年齢は幾つかしら。
私よりは明らかに年上で、太磨よりは下かしらね。
口振りに呆れてしまうわ。
「…俺たちはただの通行人だ。王子様の我が儘に付き合うつもりも無ければ、この国に関わる気もない。先を急ぐから失礼しますよ?王子様。」
「――なっ!!?何だと!?」
あ、言った…。
よくも王子様相手に、ここまでズバッと言えるわね、太磨…。
やっぱり、あまり敵には回したくないわね。
ラクダを歩かせて数歩。
もう放って置けば良いものを、
太磨は再び王子様に声を掛けた。
「――…あ、そうだ」
「――何だっ!!食料くらい置いてゆく気になったか!?」
「…いや、そんな事より…」

