失礼すぎる振る舞いに、怒りで次の言葉も見付からない私。

残りの2人はといえば、
さっきから男の相手を私に任せて、そわそわと周囲を見上げているばかり。

高い石柱の上や裏に、
朱い鳥が隠れてやしないか、
体を乗り出して探していた。


「……太磨…、虎白…」

1回朱い鳥は忘れてよ。
この男、私1人じゃ無理…。


「…じゃあ、分かった。食料と水は諦めてやる。俺は中心地の宮殿へ帰りたい。そのラクダをよこせ!!」

「――はぁぁっ!?」

どんだけ横暴なのよ。
もう無理、
相手しないで早く去ろうよ!?

そう背中にある太磨の顔を、私は見上げた。


「…中心地、宮殿…。あぁ、この男、朱雀の血縁…か?」

太磨がそう呟いた。
まじまじと、やっと男に視線を落としてくれたのだ。

荒れているという中心部。
その宮殿に住む、
朱雀の血縁の末裔…?

あぁ、じゃあ…
この失礼な横暴な男が、
全ての原因なんじゃないの?

わぁ…
関わりたくなーい…


「…おい、そっちの剣士風の男!!お前の方が話が分かりそうだ。ラクダから下りろ。宮殿まで俺を護送するなら褒美をやるぞ!?どうだ!?」

男は太磨を見て、ニヤリと笑ったわ。