「あぁ~?なんだぁ~?てめぇ」

男達が振り返る。

「やんのか?」

「はいはい、かかって来いよ」

人和は、面倒くさそうに応えた。

「この野郎ぉぉっ!!」

男の1人が人和に殴りかかる。

人和は、華麗なフットワークで避ける。

男が何度殴りかかっても当らない。

人和は、中学全国第2位のボクシング経験者だった。

決勝戦でのカウンターで左目の視力が低下しボクシングを辞めていた。

しかし、1年程度のブランクなら素人のパンチは当らない。

「くっ…くそ…ちょこまかと…」

「もう止めろ、全員でかかってきても当んないよ…」

「ざけんなよっ!!」

男が、再び殴りかかってきた瞬間…、

「うぎゃぁーーーー!!」

その男の後ろから、仲間の男の叫び声が聞こえた。