「おーい姉さん、
俺出掛けるから!
夕飯いらないから!
聞いてる?」


二階の部屋のベッドで寝転がる私に向かって一階から大声で叫ぶ大陽。


「わかったわよ!
さっさか行きなさいよ。」


ただでさえ隆のことで頭がいっぱいなんだから大声で話さないでほしい。


「あと母さんが今日も遅くなるって~じゃあね。」


大陽がそう言ったあとに、玄関がバタンとしまった。


それを聞いて、ふぅ、とため息。


大陽は、血の繋がらない弟だ。


いわゆる義理の姉弟。


私が中学3年生の時、両親を亡くした大陽は親戚もいなくて孤児となった。

その時大陽は中学1年生。

大陽の中学で当時担任をしていた母が、

施設じゃ可哀相だから引き取る!

と言って半ば無理矢理連れてきた子だ。


最初に来た時は随分と荒れてて気分最悪だったけど、


それも両親を亡くした寂しさだったらしく、しばらくしたら落ち着いた。


義理とは思えないほど仲良くなり、今に至る。


だがそうなれたのも実は隆のおかげなんだ。