「いや、いつもだよ。
雅はね、そういうの、優れてると思うよ。
俺、雅の本出たら買うから!」


適当に言った小説家に本当になったかのような気分にうっかりなってしまいそうなくらい、

隆は私を褒めてくれた。

もうこの際本気で目指すしかないかな。
とか思ってしまう私って単純。


「…どういう話がいいかなぁ。
やっぱり、恋愛?」


隆はうんうんと頷く。


「女の子っぽくて、俺はいいと思うよ。
この夏に、一作品作ろう、な!
俺も勉強頑張るからな。
ほれ、約束」


そう言って小指を差し出す隆。

指切り、げんまん。


「小学生みたい。」


「いーじゃん。
ほら、ゆーびきーりげんまん!」


私の小指が、隆の小指に触れる。

それだけでドキドキして、それだけで幸せになる。


私って、やっぱり単純。