―――…


『脱水症状と悪阻が同時に襲ってきた感じですね』


「……どんな感じだよ」


…思わず突っ込んだ。

びしりと人差し指を立てながら言われても困るというものだ。


『水分をしっかり摂っていただきたいところですが…恐らく無理でしょうし、点滴をします』


ちゃっちゃと準備をし、真裕が眠っているのをいいことに早々に針をぷすっと刺した。


…これ起きてたら大事だったぞ…。

いくら子供のためと言っても納得しきらないほどに注射系は嫌いだからな…。


『では、点滴が終わったら呼んでください』


医者はそう言って出て行った。


…しかし、シュンはまだいいとして…医者まで忘れてんじゃねぇだろうな。

真裕が寝てんの…俺のベッドだろ。病室を用意してやれよ。


「おう、終わったか?」


「ああ。サンキュー」


いや…マジに助かったからな。

冗談抜きで。


「そういやなんか用事だったのか?」


「ん…いや、ちょいと真裕にな」


ドカッとソファに腰掛けながらそう言うと、明らかに俺のなのにペットボトルを開けた。


「……」


飲むか普通。

人の病室で人の物を、自分の物みたいに飲むか普通。


「…ぬるっ」


「人のもん勝手に飲んでおきながら文句を言うなΣ」