秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*


「…見かけ通りだ。とても弱くて…とてももろい。一人で立ってることなんかできない」


「え……」


…俺が聞いたのは…。

俺が、親父さんから聞いたのは…、真裕は生まれたての子鹿のように危うく見えて、とても芯が強く、本当は誰の手も必要としていない…と。

そう聞いた気がするんだが…。


一瞬だけ親父さんと楓を見比べて、再び口を開いた楓に意識を向けた。


「お義母(まこと)さんを亡くしてから真裕は、毎晩震えながら俺にしがみついて泣いていた」


「…!」


「自分でもなにがとは分からないけど怖い…と」


「……」


相変わらず楓の意識は真裕にあるわけだが、親父さんは目を見開いて楓を凝視した。


「それでなくてもしょっちゅうそんなことはあった。少しでも精神が不安定になると、夜必ずそうして泣く。…本当は、誰かに支えてもらっていないと立ってもられないんだよ」


そう言った楓がなぜだか…一番つらそうで。

お前こそ…誰かが…真裕が、そばにいないとダメなんじゃないかと。

そう言いたくなった。


「…悪かった…」


聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声でそう呟いた楓。

それは、そばにいてやれなかった真裕へ向けられたものだった。


『あたし達…マヒロを傷つけたわ』


『…!』


『だって、勝手にこの子は強いって決めつけて…。それがきっと、マヒロの負担になってた…!』


『ハディ…』


『なんであんなに気を遣ってばかりなんだろうって思ってた。でもそれ…あたし達のせいだったのね…』