「…知ってるよ。そんなあいつも、俺は知ってる」


「え?」


あんな思いを…俺はずっとさせていたのか。

真裕をずっと…あんなままに…。


「…俺に、あいつの知らない部分なんかないんだよ。真裕の隅から隅まで全部。……俺のもんだ」


「…!」


きっぱり言い切って、真裕が置いていったお茶に手を伸ばした。


「参ったなったく…。結局惚気かい。…そう堂々とヤりました宣言されても」


「ぶっ飛ばすぞてめぇΣ」


誰がそんな宣言したよこの野郎!

いちいち腹の立つ…。


「はっ! やっぱおもれェよ、お前ら。またお前ら夫婦を見ることが出来て、俺も嬉しいね」


ニッと笑って、なぜか俺の手からお茶を奪い取ったシュン。

無言で取り返した。



―ガラッ



「たっだいまー! 見て見てかっくん、これ見て! もらっちゃった!」


ぴょんこぴょんこ飛び跳ねながら帰ってきた真裕。

頭のてっぺんからつま先までもらすことなく可愛い…。


「跳ねるなバカ」


「…っとっと…」


言うと、そろりそろりと歩き始める。


「見てほら、これ。赤ちゃん」


嬉しそうに、紙切れをぴらぴら見せてくる。