先生はそう締めくくり、じっとかっくんを見つめた。


『…私はN病院の医者ほど優秀ではありませんし、ここには立派な設備も整っていません。…ですが私も医者の端くれです』


「……?」


『仕事だと割り切ってしまって…お伝えしなければならないことがあります』


ああ……。

こういうの。

あたし、こういうのが大嫌いなんだ。


こういうときは大概、いい言葉なんてかけられない。

いつもいつも、誰だって。

あたしを、地獄へ突き落すんだ―…。




『重度の昏睡状態と申し上げましたが、その通り状態は思わしくありません。回復は…』





―…回復は、もう見込めないと思っていてください―





……なんでかな。

どうして神様って人は、こんなに意地悪ばかりするんだろう。

素直に…会わせてくれればいいのに。

目の前にいるこの人が、目を開けてあたしを見てさえくれれば…。

この人の瞳にあたしの姿がうつりさえすれば…。

あたしは、なにも言わずに笑えるのに―…。









「真裕―!?」