――洋平サイド――
『早く輸血を!!』
『なぜだ…!? なぜこんなに心拍が弱く…! 外傷は特に見られないのに…ひょっとしたら内臓が傷ついているかもしれない。エコーを持ってきてくれ!』
処置室から聞こえる緊迫した声に、私の心臓も止まりそうだった。
なによりも大事な娘……あの子だけは、何としても守りたい!
そう思っていた。
『…!? これは…!』
やがて中から驚愕の声が聞こえる。
『ご主人はいらっしゃいますか!?』
出てきた先生の言葉に一瞬首を傾げた。
なぜ主人なんだ?
こういうときは普通、親ではないだろうか…。
そう思いながらも、楓くんはいないのでどちらにせよ私が代わりに名乗り出た。
『主人は今おりませんので、私が…』
『お父様ですか。少し中に…』
焦った様子の先生にこちらも不安になりつつ、案内されるままに処置室へ。
そこに横たわる、血まみれであまりに痛々しい娘の姿に思わず目を背けたくなった。
『こちらをご覧ください』
そうして見せられたのは画面。
超音波画像か…?
『とても分かりにくいですが……間違いないでしょう』
『…と…言いますと?』
『娘さんは、ご懐妊なされています』

