呆然という一言がぴったりなこの空気に、ただ一人父様だけはため息をついていた。
「まったく…なんでこんなこと言い忘れるんだか…。どうにもアホで仕方がないなこいつはっ」
「だってそれどころじゃなかったん…」
「嘘でしょ!? なんで!? そんなことあるはずないじゃない!」
『そうよ!! だって赤ちゃんて…“やること”やってなきゃ出来ないのよ!?』
『おまっ…真っ昼間から叫ぶようなことか!?』
かと思えば、途端みんなして騒ぎ出して…今度はあたしがきょとんとする番だった。
「楓くん、やっっっっと“そうなって”たのか?」
「うるせぇなお前コラΣ」
『ちょっと! ええ!? いつの間に!?』
いやだわぁみんなして…。
あんまり大きな声出さないでよね。
って言いたかったけど、ちょっとやそっとじゃ届きそうにないのであきらめた。
『だってそもそも…待って待って。そういうカンケイになってたのはいいとして! まだいいとして!』
「だからその言い方なんとかならねぇのか」
『カエデは二ヶ月もいなかったのよ? なんでそんなこと起こるわけが…』
「…あたしに聞かれましても」
「あんた以外誰に聞けと!?Σ」
「……かっくんこあい~!」
『ちょっと…。これほんとに母親になるの…?」
まあ失礼ね!
あたし、もうお母さんだよ。お腹にもういるんだから…。
「おほん。それは私が説明しよう」

