「い……今あたし…聞くはずのない一言を聞いたような…?」
「み、右に同じ…」
「お前今、左にいるだろ…」
「そ、そうやんなぁ…ってそれはどうでもええんとちゃうか?」
「そ……そうだな」
蓮くんが珍しく動揺してる。
動揺の仕方、面白くない?
「ま……まおちゃん今なんと…」
「蓮くんどうしたの?」
あたしそんなに…声も出ないようなこと、言ったかなー。
『なんか俺…妊娠…とか、赤ちゃん出来た…とか、そんな日本語が聞こえた気がするんだけど…』
『あら奇遇ね…あたしもよ。もう少し日本語勉強しなくちゃねぇ…』
『俺は日本育ちだから日本語は完璧なはずなんだがなァ…』
『俺もだ…』
まあまあ…。
みんな本当にどうしちゃったの?
「ね、かっくん。…ってあなたまで」
ものすげー顔してまじまじとあたしを見てる。
かっこよさが台無しだいっ。
「ま…真裕お前…」
「ん?」
「ま、まおあんた赤ちゃん出来たの!? 本当に!?」
「え? うん。…あ、そうだかっくん、男の子がいいと思う? それとも女の子?」
「いや……は?」

