涙ってどこから出てるんだろうって思うくらいに。
体の水分持つの? って思うくらいに。
目が真っ赤に腫れるまで、喉が痛くなるまで、あたしは泣き続けた。
苦しくない…こんな涙を流せるなんて、思ってなかったよ。
『本当に申し訳ありませんでした…』
先生は何度もそう謝って、ひとまず病室を出た。
かっくんは、ベッドごと上半身を起こしている。
様々な機器は外されて、顔色こそそうよくはないものの、あたしの望んだ彼の姿だった。
「かっくん大丈夫? 大丈夫? あたし会いたかったの。もう死んじゃったと思ってたんだよ」
またうるうるしてきながら一生懸命覗き込んで言うと、かっくんは苦笑いをした。
「お前こそ顔色悪いぞ。…それに痩せたな?」
「だって二ヶ月もかっくんいなくって…! まおごはんなんて食べられなかったよぉ~! うわーんっ!」
「に…?」
ついにまた泣き出してしまって、かっくんの膝に顔をうずめた。
そんなあたしの背中を撫でながら、かっくんは声を漏らした。
「そうよあなた、二ヶ月眠り続けてたの。ったく…それだけ寝ればもう一生寝なくていいんじゃないのっ」
「奥さん、二ヶ月寝てたんだから、二ヶ月起きてたらいいじゃないですか」
「あら…そうですわね」
「いや…そういう問題じゃねぇのよ」
「うあーんっ! かっくんの声~っ。かっくんの悲しくなるくらいの突っ込み~っ」
この…!
傷ついちゃいそうなくらい容赦のない斬り捨て方…!?
これこそかっくん!
「お前は俺をなんだと…」
「ひっく…うっ…」

