秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*


涙ってどこから出てるんだろうって思うくらいに。

体の水分持つの? って思うくらいに。

目が真っ赤に腫れるまで、喉が痛くなるまで、あたしは泣き続けた。


苦しくない…こんな涙を流せるなんて、思ってなかったよ。


『本当に申し訳ありませんでした…』


先生は何度もそう謝って、ひとまず病室を出た。

かっくんは、ベッドごと上半身を起こしている。

様々な機器は外されて、顔色こそそうよくはないものの、あたしの望んだ彼の姿だった。


「かっくん大丈夫? 大丈夫? あたし会いたかったの。もう死んじゃったと思ってたんだよ」


またうるうるしてきながら一生懸命覗き込んで言うと、かっくんは苦笑いをした。


「お前こそ顔色悪いぞ。…それに痩せたな?」


「だって二ヶ月もかっくんいなくって…! まおごはんなんて食べられなかったよぉ~! うわーんっ!」


「に…?」


ついにまた泣き出してしまって、かっくんの膝に顔をうずめた。

そんなあたしの背中を撫でながら、かっくんは声を漏らした。


「そうよあなた、二ヶ月眠り続けてたの。ったく…それだけ寝ればもう一生寝なくていいんじゃないのっ」


「奥さん、二ヶ月寝てたんだから、二ヶ月起きてたらいいじゃないですか」


「あら…そうですわね」


「いや…そういう問題じゃねぇのよ」


「うあーんっ! かっくんの声~っ。かっくんの悲しくなるくらいの突っ込み~っ」


この…!

傷ついちゃいそうなくらい容赦のない斬り捨て方…!?

これこそかっくん!


「お前は俺をなんだと…」


「ひっく…うっ…」