――真裕サイド――
『本当に申し訳ありませんでした』
「ひっく…」
『もう少しで…助かる命をこの手で無理に絶たせてしまうところでした…』
「ふえっ…」
『本当に、申し訳ございません』
「……ああーんっ!」
「…真裕……少しは聞いてあげなさいよ…」
父様の呆れた声なんて耳に入らない。
だって…だって今、あたしの目には。
目を開けて、困ったような笑い顔であたしを見つめるかっくんの姿があるの。
泣き続けるあたしの頭を優しく撫でる手があるんだもの。
「うえー…っ」
「ばかっ! もうっ…ばか! あんた一体…どれだけの人を…!」
そう言うママも、涙で言葉にならない様子。
誰に言ったのか分からないけど…かっくんは、「…悪い」と呟いた。
「しゃべったぁぁ…! かっくんがしゃべったぁ! うあーんっ」
生きてる……本当に生きてる…!
動いてるよ。喋ってる。
…笑ってる……!
かっくんのすべてに感動して泣いてばかりのあたしを、身体が動かないかっくんは抱きしめることはできないけれど。
それ以上の安心感を、左手一つで与えてくれた。
「もう会えないと思ってたのっ…もう声も聞けないと思ってたの…! かっく…!」
「…真裕…」
そうやって……呼んでもらえるなんて思ってなかったの…!

