呟きながらも、ごそごそとなにかしている。
その間も真裕が楓から離れることはなく、相変わらず泣き続けていた。
『う…そ…』
『カエデ…?』
生きている……本当に。
本当に生きている…?
『信じられない……』
ぽつりと呟く医者の言葉は、この場の人間みんなの心そのもの。
実は夢でしたとかいうオチはいらねェぞおい…。
本当に…本当だろうな…。
『す、すみませんが、親族の方以外はご退室を…』
あたふたしながらもそう言われ、俺達は追い出された。
唖然としている間の出来事で、本当にあっという間だった。
『……』
『……』
「だ……誰かこいつを十発くらい殴ってくれない…?」
「お前真顔でなにゆうてんねんΣ」
―ベキッ
「痛いな!? お前もホンマに殴るなや!」
「夢じゃないのか…」
「どんだけベタな確認やねんΣそしてそれを人でしなや!」
こんな状況でも漫才ができるこの三人はすごいと思う。
しかもそれを本気でやっているんだからな。
『ね…さっき、動いてたわよね? カエデの手…動いてたわよね…?』
『うん…っ、うんっ…!』
『マヒロの頭……撫でてたわ…』
『っ…うん…!』
『いつも…みたいに…!』

