だけど…。

生きててくれたもんね。


かっくんはやっぱり、あたしを一人にはしなかった。


彼がいないとき、あたしはなんだかんだやっぱりお腹の子の存在に救われていたところはある。

もしこの子がいなかったら…あたし、本当に死んじゃってたかもしれないから。

やがて一人じゃないんだとは思えるようになって。

それもやっぱりかっくんのおかげだから…。


そしてかっくんが生きていることが分かって…だけどそれは、死んでいるのと同じことだと言われ。

今度こそ本当に失うと思った。


…それでも、彼は目を開けてくれたの。

あたしを…あたしとお腹の子を、包み込むような温もりを。

失わずに済んだんだ。



「…まお?」


「はい?」


「どうしたいつになく変な顔して」


「いやちょっと思いだし……いつになく変てこら」


…口は悪い旦那ですが…それでもあたしは愛してる。

今のこの瞬間が幸せでならない。

あれを耐えられたんだもの。

どんな地獄も生きぬける気がする。


「ね、かえくん❤」


「なにがだよ?」


「愛は勝つってことですよ」


「? …意味わかんねぇやつ」


いいわよ分かんなくたって。

あなたがあたしを愛してさえくれればそれでいいってこと…。