楽しいよね楽しいよね。

この時期が一番楽しい。


「ふふ」


だってさ…思い返してみるとね。

妊娠が分かった頃は本当に地獄だったもの。


かっくんがいなくって…赤ちゃんだって、いつ何が起こるか分からなくって。

つらくてしょうがなかったそんなときに、かっくんは死んだんだって聞かされて。


あたし、本当に死んじゃいたいと思った。


母様が亡くなったとき…。

あのときもあたし、こんなの見続けるくらいならいっそ…って、そう思った。


だけどあのときはこの人がいてくれたから。

ずっとそばにいてくれて…眠れないときはずっと抱きしめてくれてて。


あたし、だから耐えられたの。


それなのに…。

それなのにそんな彼がいなくって。


本当なら、かっくんとあたしの赤ちゃんなんてすごく嬉しいんだ。

だけどそんな風に思えなかった。

なんで、あの人がいないのにあたしのお腹には…って。

この命を大切になんて思えなくて、いなくてもいいからあの人に戻ってきてほしいってそう思ってて。

だけどそんな風にしか思えない自分も嫌だった。


生きてるのに…。

あんな事故に遭っても、この子はしっかり生きててくれたのに。

それなのに心から喜ぶことも命を尊ぶこともできなくて。

そんな自分も、すごく嫌だった。