「うーむ。しかしこれでは仕事どころじゃないなぁ」
腕を組んでのんきに言うが、仕事どころじゃないどころですらない。
ここにいるだけでもはや危険だ。
「あーあしょうがないなぁ…」
「なんで不満そうなんです。自分のせいでしょうが」
迷惑被ってんのは俺だと言いたかったが、ぐっと飲み込んだ。
「仕方ない。裏口は極秘になってるから誰もいないだろう。そこから出なさい」
「出てどうするんです?」
「真裕のとこへ帰りたまえ」
「……」
適当だな相変わらず…。
まあいいけど。
「じゃ、遠慮なく」
帰れるってんならすぐ帰るに決まっている。
「達者で…! 達者でな楓くん…!」
「あんたがいなきゃ平和なんだよ」
「はう!?Σ」
最後にぼそっと仕返しをし、夏に一度通った裏口へ向かった。
あの人のことだ。
たぶん、なにかしらの手配はしてあるだろ。
野木さんが待ってるか…野木さんの待っているヘリポートまで車で行くか…だな。
「…真裕の反応、面白そう…」
思わず一人呟いた。

