やだ。


…言いたかったけど、言わなかった。


「分かったぁ…」


『…ん。“二人で”待ってな』


きっと分かってる。

この人は、あたしが言いたいこと分かってる。

けど何も言わないんだね。ありがと。

言われちゃうと…我慢できなくなっちゃうもん。


かっくんの、二人でって言葉に反射的に動いた手。

お腹に当てながら頷いた。


「じゃ頑張ってね。父様に無茶ぶりされたら『できるかばーか』って言っとくんだよ」


『言えるかばーか』


言われたΣ


があぁん…とショックを受けているうちに、かっくんは冷たいことに「じゃあな。ブツッ」…と切ってしまった。

なんて淡白なのかしら。

それでも本当にわたしの旦那かしら。


「ひどいわねーおとおさんったら」


「帰ってこないって?」


「いちにしゅうか…」


「すぐだな」


「容赦な!!Σ」


あたしはこんなにも傷心してるのに!


「琥珀なら…いいえ…! ここは、梨音のほうが分かってくれるわよね…!」


「わん…!」


「ありがとう…!」


「同意なのかそれΣ」