――真裕サイド――


カナダの家に着いてから丸三日。

生活の支度はすっかり整い、子供部屋も決まってあたしは四六時中ご機嫌だった。


「ね、ここが繋がっててよかったよね!」


「はいはい…」


「ねーベッドここ? あっち? そっち?」


「どこでもいいんじゃない」


「どっちでもいいてなによー。ちょっとくらい真面目に考え…」


「…あのな」


うん?


「なんで俺が真面目に考えなきゃならないんだ! そんなことは旦那に言え旦那にっ」


「……だっていないんだもんつまんなぁい!!」


「知るかΣ」


…そう。

実は、あたしが今わくわくと語っている相手は愛するだありんかっくんではなく、どっちかといえば嫌いなユウキである。


「どちらかといえば嫌いてΣ」


かっくんはね…二時間くらい前にね…。




―ばーんっ


『かっえーでくぅぅうう~~~ん!』


『うざっ』


『があん!Σあ、愛する娘にうざいって言われる父親の気持ちがちょっと分かった!!』


『てかまんまじゃん』


『…Σ』