「……」


これほどそっくりな親子を俺は見たことがない。


「おいあんた跡取りなんだろ? なんとかしてくれよ」


「俺は会社(を継がされる)だけだ。藤峰本家においての力は今んとこほぼねぇ」


「…役立たず」


「ああ"? やんのかテメェ」


「いいぜ。暴れて追い出されてやろうか」


「はっ。そりゃ無理だなあ? あの義父親はそんなことで追い出すような人間じゃねぇんだよ」


「じゃあんたを殴ってやるよ。藤峰の親父さんは、あんたのこと気に入ってんだろ?」


「その程度でも無理だな」


「いいわじゃあΣ今勝手に出て行くし」


「できるもんならやってみな。世界の藤峰なめんなよ」


「うるさいこの…」


「どっちもうるさいわ!!Σ 外でおやんなさい! そんな口喧嘩胎教に悪いでしょうが!」


珍しくキレているユウキと本気で口論になりかけていたとき。

これまた珍しく、真裕が本気でキレた。


「大体ユウキはもう諦めなさいよ。うちの父様、もう誰が言ったって聞きゃしねーわよっ。そんであなたもいちいち乗らない! どうしても喧嘩したきゃ、さっさと出ていきな!!」


びしっと外のほうを指差しながら、真裕はきつく言い放った。


「…わ、悪い…」


「……」


…こういう時というのは、頭よりも早く口が動くものらしい。

まあ、ユウキに至ってはそれすらできなかったようだが。