―――……


―ピッ…ピッ…ピッ…


「…ね…。今日ね、りんりんがこれくれたの。こっちはかっくんにだって」


―ピッ…ピッ…ピッ…


「ねー返事してよ。…かえたんて呼んじゃうぞ」


―ピッ…ピッ…


「……」


…その日の夜。

ぴくりとも動かない彼の手を握って話しかけ続けた。


反応はない。

この一週間ずっとそうだ。


「…っ…ばかぁ…!」


嫌だ…嫌だよ。

生きてるのに…脳死ってなに?


―殺しちゃうの?


…先生は言った。


『親族も現れましたし、もう…』


…もうってなによ。

だってこの人生きてる。

胸に触れたら心臓は動いてるし、手を握ったら温かいの。

きっとそのうち目を開けるわ。

だから泣いてちゃダメなの。

「こら泣くな」って…困った顔で言われちゃうから。


それなのに…。


「……っふ…うあーんっ…!」


…それなのに……涙が止まらないよ…。