「現金まったく持ってないのか?」


「ううん持ってた。足りないと思ってた」


「…………」


お前はいくらを想像してたんだよ。

そして十万持ち歩くってどうなんだよ。


「もうちょっと見てたいけど…琥珀待ってるし、じっくり眺めるのは今度にしよう。楽しいし❤」


「そうしろ…。体調が安定したらゆっくり見て回ればいい」


「うん!」


今は出来るだけ休ませたいところなので、買うものだけ買ってさっさと店を出た。

配達にしてもらうって……住所知ってたのか…。

そんなところにちょっと感心した俺は、真裕に甘いだけでなくちょっとなめてるかもしれない。


「琥珀たんお待たせー❤」


「きゃんきゃんっ」


「おーよちよち」


「……」


……ふっ。

俺はこいつと違って大人なのよ。

犬に嫉妬するほどガキじゃねえん…。


「あーもう可愛いったら❤琥珀もう超愛してる! 世界一愛してる! 可愛い~~!」


「……」


世界一だとこの。


「琥珀への愛に敵うものはないわね…! 対抗できるとしたら梨音か紅葉かしら…!?」


「……」


おいこら。

わざとかこいつ…。