入り混じる。

正反対の感情が、入り混じる。


触れると確かに生きていて。

だけどこんな……こんなことって…。


生きていてくれた、嬉しさと。

どうしようもない…嬉しさと。


重度の昏睡状態という、あたしからすれば得体の知れない状況。

恐怖やショックや…そんな気持ちも隠し切れなかった。



―コンコン



『失礼します』


あの医者の声だ。

最初に聞いたのがあの言葉なだけに、あの声を聞くとドキッとしてしまう。


「真裕、大丈夫か?」


父様も一緒。

なんとなく安心した。


「父様…」


「少し話をしてきた。お前も聞きなさい」


「……」


「…お前は楓くんの妻だからね」


それって…こんなにつらいことなの?


言おうとしてやめた。

理不尽なことだって分かってるから。



『彼が最初に病院に運び込まれたのは、二ヶ月ほど前…。あの事故の直後でした』



…そして。

その医者の口から、あの日からのかっくんのことが語られた。