「ハッ……!!?」


しばらくの間のあと、大きくのけぞりながらまるで悟りが開けたような表情をするお義父さま。

かっくんとは、とても似ても似つかない。失礼ながら。うん。


「…あなたまさか忘れてたの?」


「……ごほん。よく来たね。体調はいかがですか?」


「はあ…まあ、ぼちぼちです」


「楓はどこかね? ピンピンしていると聞いたのですが」


「えー…あっちの方にいるんではないかと…」


「そおですか。それでわちょいと、をぢさんは行ってくるよ。わははははっ」


すっくと立ち上がったかと思うとおかしな口調でお義父さまはあたしに声をかけ、行ってしまった。

右手と右足が同時に前に出てる。

どんだけ動揺してんだ。


「……忘れてたのねぇ…」


「忘れてたんですね…」


なんだろう。

うちの父様にどことなく似ている気がする。

気のせいかしら。


「男二人は放っておきましょう。まおちゃんそこに座ってて。お茶を淹れるから」


「すみません。お構いなく」


本当ならお手伝いでもするべきなんだろうけど、今日は少し無理をしてしまった。

赤ちゃんに何かあってもいけないから、素直に座らせていただくことにした。


「お紅茶でいいかしら?」


「はい!」


「お茶菓子は食べられそう?」


「すみません~…甘いもの、つらくって」


「そうなの? 大変なのねつわりって…」