「…じゃあ、なぜ日本に行くんだ?」
「学校をやめるためです」
「なんで?」
「赤ちゃんが出来たから…?」
「それだけ?」
「バイオリンが出来ないから?」
…?
なぜまた今さらそのようなことを。
きょとんと首を傾げながらかっくんを見つめた。
「…それならいっそバイオリンいらねぇだろが」
「なにを仰るの。あなたはいるわ。ぜひいるわ」
「は?」
「え?」
「……」
「……」
……んんん?
「……なんで俺のを買う必要がある」
「だってほら…なくなっちゃったじゃない」
「……」
「……」
―ぽんっ
「あーそうだったっけーってえええ!? 忘れてたんですか!?」
なにを「今思い出した」みたいに手を打ってらっしゃるんですか!!
相当重要よ!? 天才星野楓の命みたいなもんですよ!?

