―――……


「……ねえあのさ」


…あれから一時間は経ったかな。

相変わらずあたしは、かっくんの肩に顎を置いていた。


「…ん?」


「安定期に入ったら日本に行こうかな」


「………………は?」


…えらい沈黙が長かったですね。


「は? 何しに?」


「いや、学校やめなきゃ」


かっくんに言ったら不思議とすごくすっきりしたの。

やめなきゃって思っても…バイオリンのことを思っても…胸がキュッてならない。


おかげでさらりと理由を告げた。


「お義父さんに頼めば?」


「何言うか分かんないからイヤ」


「じゃあ俺が行く」


「すんげー騒ぎになりそうだし大体そんな体で行っちゃダメ!」


「お前が言うかΣ」


「…………それもそうね」


また的確な突っ込みをありがとう。

なんとしてもあたしを行かせたくないようだ。


「んじゃあ電話でいいんじゃねぇの?」


「いや、さすがにそういうわけにもいかないんでは…」


「代役をたてる。…いつかの偽者とか…」


「正気ですか!?Σ」


いくらなんでも行かせたくなさすぎじゃない!?