「如月さん、あの…」 「沙羅」 「…え?」 「沙羅って、呼んで。 私、あなたのこと 嫌いじゃない」 相変わらず無表情のままだが その整った唇から 発せられた言葉は とてもうれしいもので。 他の人には聞こえていないみたいだ。 「…うん。わかった、沙羅!」 一歩、踏み出した。 小さな一歩だったけれど、 あたしはとても 温かくて幸せな気持ちになった。 「ねぇ… 誘ってくれて、ありがとう」 如月さん…もとい、 沙羅は、それ以上何も 話さなかった。