階段を降りると、 玉子焼きのいいにおいがした。 リビングに入ると、 キッチンからびっくりした顔でお母さんが私を見た。 「今日は早いわね。まだ6時半よ?」 いつも7時に起きる私に向かって お母さんは言った。 「なんか、目が覚めちゃって……」 それだけ言うと、 私は洗面所へ足を向けた。