用を済ませ、やっとの思いで美術室に着いた。 乱れる呼吸を落ち着かせ、流れる汗をハンカチで拭った。 …ったく、なんなんだよ。 眉をひきつらせながら、美術室の戸を開けた。 「……あれ?」 ついつい驚いて、声に出してしまった。 誰もいない……。 辺りを見回すが、何も変わらなかった。 そんなに、時間はかかっていなかったと思うけど…。 …まぁ、いいや。 話聞かなくても済んだし。 僕は向きを変え、教室へと向かった。