僕は、他の部員と共に、美術室で演劇部の看板の下書きを描いていた。 部長の山田 陽菜(やまだ ひな)先輩と、 副部長の神前 怜(かんざき れい)先輩と、 後輩の安田 菜々(やすだ なな)ちゃんと一緒だ。 他のグループがワイワイやっている中、僕たちは手だけを動かしていた。 この看板の締め切りが一番近いからだ。 いつもはほわんとしている陽菜先輩や菜々ちゃんも真剣だ。 …話さなくて済むから、楽でいいけど。 安心した僕も、手を動かした。