風邪で熱が出た、のメールに居ても立ってもいられなくなり、コンビニでポカリを買ってダッシュした。


のろのろと出迎えてくれたのは、冷えピタをおでこに貼って少し間抜けな姿をした光博。


「…なんにも片付けてないけど」





別に構わない。

流しに溜まった洗われることのない食器も、あちこちに散らばるチョコレートの包みも、美人女優の単体アダルトDVDの山も。

あたしはすべて受け入れる自信があった。





好きだから。


甘えすぎだとか重いとか面倒臭いとか、絶対に思われたくない。


あたしが光博より5つ年下だからって。








そして案の定、無防備に置かれたソレに遭遇した。
ご丁寧に横にはティッシュケースが置かれていて、その"行為"の生々しさに血の気が引く。

それでもあたしはすぐ立て直し、何事もなかったように「具合は、どぉ?」と視線を光博に移した。





「…朝よりはよくなった。ごめんな、頼子」





「…うぅん。よし、もっと汗かいて早く治さなきゃねっ」


ベッドに戻る光博。
その枕元に、コンビニの袋をそっと置く。





「おやすみ」




わざと菌を吸い込むように、長めのキスをした。






ふと脳裏に浮かんできたのは学生時代の元カレだった。
風邪を引いて学校を休んだ時、暇すぎて7回もヤッたと友人に話していたのを偶然聞いてしまったことがある。



男って、そんなものだ。


光博もまた、その類なだけだ。