リーダー狼だ。


『喰われる!』と思った。


幸いだったのは、あたしは悲鳴を上げるタイプじゃなかったって事。


あたしは手にしていた弓の上端で氷狼の喉を思いっきり突いた。

グワッと詰まったような唸り声を上げて、氷狼は後ろに飛びすさった。

急いで矢を番えようとしたけど上手くいかない。


ちくしょう

ちくしょう

ちくしょう!


何だってこんな不様に雪にはまってんのよ、あたしはっ!


もたつく手で弓を引いた。

矢は氷狼の頬をわずかに傷つけて後ろに飛んで行った。


「ハルカ!」


チェイサーの声が聞こえた。