石の砦を駆け抜け、夕暮れの街へと妖魔達が踊り出た。

彼らの高揚した雰囲気につられて、あたしまで気が高ぶる。

辺りは見る間に暗くなり、街灯が雪の道路を照らし出している。

建物と建物の間を強い風がうねるように吹きすさび、音を立てる。


タン ト タタン

タン ト タタン


風の太鼓だ


「チビ、手を出せ」

見上げると、チェイサーが馬上から手を差し延べていた。

「俺の後ろに乗れ」


「馬なんて乗ったことない」


あたしが首を横に振るとチェイサーは声をたてて笑った。


「心配するな。普通の馬ではない。お前が逆立ちして乗っても、振り落としたりはしない」


半信半疑で、あたしはチェイサーの手を取った。


「鐙に足をかけろ」


無理

かかるもんかっ!