「あたしにできるかな?」


「さあな。だが、やる前から弱気になるのは感心しない」

馬の乗り手はそっけなく言った。

「怯えは体の動きを鈍らせる。氷狼に容赦なく食われるぞ」


うへぇ 食われたくはない


「よぉし! 絶対に氷狼を捕まえてやる!」


拳を固めて気合いを入れた。


馬の乗り手はうっすらと笑みを浮かべた。


「お前を何と呼べばいい?」


「えっ? あたしはハルカ」


「それはお前の本当の名だろう? 俺達の世界では名は伏せるのが礼儀だ。俺は『冬を狩る者』と呼ばれている。あいつらは――」

馬の乗り手はイタチと狐の面をつけた奴らを顎で示した。

「俺をチェイサーと呼ぶ」