「そうしてくれれば嬉しい」


あたしがそう言うと、翔くんは口元を強張らせた。


「ゴメン。つらかったんだね?」


あたしはうなずいた。


「あなたの期待に応えられない事が」


「俺はただ、以前のように遥といたかったんだ」


「それは無理」


「無理って何だよ。俺を愛してるって言ったじゃないか」


あたしは手を伸ばして翔くんの前髪を直した。


「愛してるよ。ただ、あたしは大人になったの。今まで通りの二人には戻れない」


大好きな幼なじみに守られていた子供には、もう戻れない。


「お前と離れたくない」