「やってやろうじゃないの」

あたしは肩から弓を外した。


狐達は宙返りをしてから砂浜を駆けて行く。


崖下の砂浜は、岩場と岩場に挟まれてそれほど広くはない。

冬の海は白波を立てて岩場に打ち付け、波しぶきがこっちにまで飛んできた。

ところどころで、青い燐光のようなものが光って暗闇を照らしている。

白魔達が狐火と呼ぶ光だ。


青い光に照らされて、イタチや狐と氷狼が格闘しているのが見えた。

先回りしていた連中も合流したのだろう。

数としては互角になったようだった。


少し高い岩場にはリーダー狼がいて、海に向かって遠吠えをしている。

あたりを凍らせるような強く冷たい風が、渦を巻くように吹いていた。