「……」 そっと拾い上げて中を見ると そこには手作りのパウンドケーキが 半分崩れた状態で入っていた。 それをじっと見ながら 込み上げてくる涙を 必死で堪えた。 ……彼女はこれをよく作ってくれた。 俺が、「うまい」と言って食べるのを いつも隣でニコニコと見ていた。 ……美沙…。 ごめんな…。 いつまでも成長しない こんなちっぽけな男で。 もう、君を 苦しめないよ……。 もう、呼び出したり、 しないから。 俺を、忘れていいよ……。