…あと、一時間くらいかな…。 時計に目を遣ると六時半だった。 ふう、と息をついて 視線を地上に戻すと スーツ姿のサラリーマン達が 私の横を速い足取りで通り過ぎて行く。 ……こんなにたくさんの人の中で どうして…。 もう一度ため息をつく。 ……どうして、私は誠也じゃないと…… ……ダメなんだろう…。