誰よりもあたしを理解しているから。 残酷な、優しさ。 ナツメのそんな所が、今は、大っ嫌い。 「…着いたぞ」 「―…海」 夕日が沈みかけた、真っ赤な海だった。 「昔から、好きだったよなぁ」 心底懐かしそうに海を眺めるナツメの瞳が、一瞬、泣いているように見えた。