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「瑛太――!」


午前中の卒業式の予行練習が終わって、各々が体育館から教室へとぞろぞろ戻る中。


あたしは一人だけ校門からこちらに向かって歩いて来る見知ったシルエットを発見した。


その姿の人物は名前を呼ばれるときょろきょろと辺りを見回して、あたしを確認すると、おう、と気の抜けた返事をした。


あたしはそいつの元に駆けていく。


「おう、じゃないでしょ。練習さぼっといて」

「バレたか」

「当たり前よ。どうせ寝坊かなんかでしょ」

そのとおり、と彼は悪びれた様子もなく笑って、さすがだなあと言った。