「楽しかったねぇ!!」

私のテンションは高いまま。

つられてるのか、ハギの声も元気だ。

初めは、ボードの話で盛り上がってたのに、話題はいつの間にか、恋愛関係に。

忘れてたドキドキが戻ってきちゃった。

「俺、幼馴染と付き合ってたんだ」

話し出したハギの顔は、寂しそう。

「話さなくて、いいよ?辛いんでしょ?」

ハギは首を横に振った。

「聞いて欲しいんだ」

そう言うから、私は黙って聞いた。

大好きだった、幼馴染の女の子。

でも、彼女には、ハギと付き合う前から、付き合ってた人がいた。

・・・二股。

「隆志が好きなの!アイツとは別れてきたから!!」

そう言って泣く彼女を、ハギは許した。

でも、ハギは見てしまった。

彼女のアパートから出てくる、その男を。

それは彼女の誕生日。

一番に12時ぴったりにお祝いを言おうと。

彼女に内緒で、彼女のアパートの前の道に車を止めていた。

5分前。

車を出ようとしたハギは、ドアに手をかけたまま、動けなかったらしい。

階段を下りてきて、少し話していた二人が・・・

キスをした。

その日のために、ぴったり合わせた車の時計は12時を表示してた。