着いたのは前回と同じ海だった。

クロちゃんと田代君と、みんなで来た海。

「ジャ~ン!」

出てきたのは、花火。

迎えに来る前に、買っておいてくれたんだって。

「わぁ~い!!花火大好き!!」

「知ってる~。黒野さんが教えてくれた」

チラリとみせた舌が、いたずらっ子みたい。

「ちなみに、もうひとつ聞いたことがあるんだ」

楽しそうに花火を開けてた顔が、いつの間にか真っ直ぐ私をみてた。

ドクン。

心臓が音をたてた。

「今日は、チィちゃんにとってどんな日か」

だから、連れてきてくれたの?

花火を持って浜辺に出ると、この前よりも潮の匂いが強い気がした。

砂山を作って、ろうそくを立てた。

赤。黄。青。オレンジ。

いろんな色がはじけて、消える。

波打ち際で花火を振り回すハギが、大声で言った。

「今日は、初めて2人で遊んだ記念日だぁ」

赤い花火でハートなんて書いちゃって。

それじゃぁ、告白されたみたいじゃない。



無くなればいいと思っていた、この日。

ハギの一言で、大切な日に変わっちゃった。



まいったなぁ・・・





私、ハギが大好きだよ。