☆恋愛革命☆ずっと一緒に居たいヒト

「チィちゃん!!!」

大きな声に、目の前が明るくなる。

ほんのり、月明かりの明るさだけど。

「どうしたの!?急に止まるし」

私より、頭ひとつ分背の高いハギ。

見上げてた顔が、まん前に降りて来て、覗き込む。

その顔は、寂しそうに笑った。

「海が持っていってくれるから。嫌な事、全部」

また、ゆっくり歩き出す。

その先の空が、少しだけオレンジ色。

「もうすぐ、朝だね」

「うん。チィちゃん、ちゃんと海に連れてかせなきゃ。早く!」

「え?」

「嫌な事連れてくのは、夜の海担当なんだよ。昼の海は楽しい事を連れてくるんだから」

早く、早くと急かすハギ。

オレンジ色は、どんどん幅を増やしていく。

「本当に?本当に、連れてってくれるかな?」

ハギが、ニカッと笑った。

「俺を信じなさい」

波の音が大きくなる。

「信じて・・・みようかな?」

「やっと笑ったぁ!」

その場に座り込む、ハギ。

その隣に座って、目を閉じる。

イヤナコト全部、連れて行ってもらうために。

私の中から消えてくれないイヤナコトを、追い出すために、目を閉じた。

ハギが、ポンポンと頭を撫でてくれた。